鉄フライパンの魅力は、使い込むほどに表面がなじんでいき、独特の風合いと使いやすさが育まれるところにあります。しかし、一方で「錆」は鉄製品の宿命ともいえます。本記事では、錆自体を過度に恐れるのではなく、“落としやすい状態”を維持することに注目したメンテナンスの考え方をまとめてみました。あわせて、筆者のちょっとした体験談や焦げ・錆にもってこいのアイテム「純銅製たわし」についてご紹介いたします。

錆はよくある!鉄フライパンの特徴を理解する

適切なケアが行われないと錆の発生という問題に直面してしまいます。まず、鉄フライパンの錆が生じる原因や錆との向き合い方についてご案内します。
鉄フライパンの錆びの原因
錆の主な原因は水分と空気中の酸素です。調理後にすぐ乾かさない、湿気の多い場所に保管する、酸性の食品を長時間置いておくなどが錆を引き起こします。また、食器洗い機の使用や強力な洗剤も、フライパンの保護膜を壊し、錆を促進する要因となります。高湿度の環境や塩分の多い海沿いの地域では、特に注意が必要です。
錆の発生は避けられない
先にふれたように、鉄は空気中の水分や酸素に触れると、必然的に錆が発生しやすい性質をもっています。しかし、「錆はつくもの」と割り切って、こまめに手入れをすれば、フライパンとしての機能を損ねない状態を維持することが可能です。
焦げつき防止と錆対策は紙一重
鉄フライパンは、表面に油の膜をつくることで焦げつきを防ぎ、錆の発生も抑えられます。つまり、調理後のメンテナンスを丁寧に行えば、焦げつきを防ぐ=錆を落としやすい状態を維持するという一石二鳥の効果が期待できるのです。
以上のように、鉄フライパンは日々のメンテナンス次第で、その美しさと機能性を長く保つことが可能です。焦げつき防止と錆対策をしっかりと実施し、大切な調理道具としての寿命を延ばすため、丁寧な手入れを心がけるのが一番です。
続いては、錆との付き合い方について解説します。
錆と上手につき合うポイント

鉄フライパンとの上手な付き合い方と、錆を防ぎやすくするための具体的なポイントについて解説していきます。
“落としやすい状態”を続けることが重要
錆を「ゼロに保つ」よりも「ついてもすぐ落とせる状態にしておく」ことが、鉄フライパンでは現実的なアプローチです。錆が生じても、軽く洗うだけで簡単に除去できるようメンテナンスしておけば、道具を長く快適に使い続けられます。
錆がとりやすい状態を維持するための使用後メンテナンスのポイント
使用後はすぐに洗う
調理を終えたら、まだフライパンが熱いうちにお湯で洗いましょう。焦げつきや錆の原因を素早く洗い流すことで、汚れが落ちやすく、かつ錆の進行も抑えられます。
洗剤の使い方に注意
鉄フライパンには、基本的には金属たわしや洗剤はなるべく使わないのがおすすめです。使う場合は必要最低限にとどめ、油の膜を残せるように洗うのが理想です。
しっかり水分をとばす・油を塗布する(錆予防として大切)
錆は水分があると発生しやすいため、水気が残らないようにしましょう。まず、水分が完全にとぶまで、フライパンを火にかけて熱します。水分を飛ばした後は、キッチンペーパーなどで薄く油を塗っておくことで、空気に触れる部分を保護し、錆が進みにくくします。できれば、油は表裏両方に塗るのがベストです。
適度に空焼きでリセット
長く使っていると、油の膜や焦げなどがたまりすぎてしまうことがあります。ときどき空焼きしてから油を塗り直すことで、フライパンの表面をフラットな状態に戻し、結果的に錆が落としやすくなります。
空焼きなどについては「空焼き」・「油ならし」・「油返し」とは?鉄フライパンの必須工程を整理!で解説していますのでよろしければご確認ください。
ついてしまった錆の取り方

では、錆がついてしまった時にどうすればよいか?ここでは、基本的なこすり落とし方から、ひどい錆でもリカバリーできるサンドペーパーの活用法までチェックしてみてください。錆がついてしまっても、適切なケアを施せば、再び美しく蘇った鉄フライパンを末長く愛用することができますよ。
金属たわしや耐久性のあるスポンジなどでこすり落とす(もっともポピュラー)
鉄フライパンの錆をとる際、最もポピュラーかつ基本的な方法としては、金属たわしや耐久性のあるスポンジなどでこすり落とすという作業が挙げられます。以下のステップで進めていただくとスムーズです。
1フライパンをぬるま湯で濡らす
表面を濡らすことで汚れや錆がやわらかくなり、こすりやすくなります。
2金属たわし(スチールウール)や耐久性のあるスポンジでこする
錆をしっかりと落とすためには、多少の摩擦が必要です。全体をまんべんなくこすりながら、錆が削り落ちるのを確認してください。もしも錆が厚くこびりついている場合は、ペーパータオルを敷いた上からお湯やお酢を注ぎ、しばらく置いてからこすると、錆が落ちやすくなることがあります。
3洗剤で洗い流す
こすり落とした錆や汚れを、水と洗剤を使ってしっかり洗い流します。洗剤を使う際は、金属面に残らないよう十分にすすいでください。
4しっかり乾かす
錆は水分があると発生しやすいので、洗い終わったらすぐに拭き上げて、コンロの火などで加熱し、水分を完全に飛ばしましょう。
5油を塗って保護する
錆止めとして、キッチンペーパーなどで全体に薄く油を塗り広げておきます。このとき、フライパンがまだ温かいうちに油をのばすと、表面にしっかり浸透しやすくなります。
6必要があれば再度シーズニング(空焼き)を行う
長く使用しているうちに油膜が薄くなったり、今回のような錆落としで油膜がなくなったときは、空焼きによるシーズニングを行って表面を整えてあげると、焦げ付きにくく錆も出にくい状態になります。
この工程を踏むことで、一般的な範囲の錆は十分に落とせます。特別な薬剤を用いずに身近な道具で行える点から、この方法が「最もポピュラー」といえるでしょう。錆を落とした後は、しっかり乾かして油を塗るという仕上げを欠かさずに行うことで、錆を再発しにくい状態に整えられます。
錆がひどい場合:サンドペーパーでこすって再生するやり方
かなりひどく錆びてしまったフライパンでさえも諦めないでください!サンドペーパーがおススメなのでご紹介します!
準備物
粗めのサンドペーパー(#80〜#120程度)、細かめのサンドペーパー(#220〜#320程度)、温水、柔らかい布またはキッチンペーパー、食用油
1サンドペーパーでこする
まず、粗めのサンドペーパー(#80〜#120程度)を使って、錆びた部分をしっかりとこすりましょう!錆が取れたら、細かめのサンドペーパー(#220〜#320程度)で表面を滑らかにしていきます。
2洗い流す
サンドペーパーでこすった後、フライパンを温水で洗い流し、錆の粉や汚れを取り除きます。
3乾燥させる
フライパンをしっかりと乾燥させます。水気が残っていると再び錆びる原因になるので、完全に乾かしましょう。
4シーズニング
フライパンが乾いたら、薄く食用油を塗り、弱火で加熱して油をなじませます。これで錆びを防ぎ、次回の使用時にノンスティック効果を保つことができます。
ピカール金属磨きを使おうとした体験談
食器類には使えない!? 思わぬ落とし穴
ある日、実家の鉄フライパンを発見。錆も凄くついていたので、手っ取り早く油膜も含めてすっきり磨き直したいと考え、「ピカール金属磨き」というのを使ってみようと思いました。鉄錆の磨き上げ効果がかなり高いとの評判だったため、手早くきれいな状態にできるかも…と期待したのです!ところが、いざ使おうと説明書きをよく読むと、**「食器や調理器具には使用しないでください」**という注意書きがしっかり明記されていました。食品に直接触れるものへの使用は推奨されていなかったのです。(笑)
「しっかりしたメンテナンス」が最適解
手っ取り早く錆を取りたかった・・・とはいえ、やはり工業製品向けの金属磨きは、フライパンなどに使わない方が良いと痛感しました。鉄フライパンを上手に使い続ける最良の方法は、結局のところしっかりとした日々のメンテナンスに尽きるという結論に落ち着いたのです。多少の錆なら落とす手間をあまりかけずに対応できるよう、“落としやすい状態”を保つメンテナンスを怠らないことが大切だと再確認しました。
焦げ・錆・ひどい錆まで使える「純銅製たわし」

鉄フライパンや魚焼きグリルのしつこい焦げ付きはもちろん、錆までしっかり落とせる「純銅製たわし」です!サンドペーパーで擦らないといけないくらいの錆はなかなかつかないものです。しかし、その手前ぐらいまでの錆や頑固な焦げまが厄介なところ。そんな、厄介な焦げや錆に対しても「純銅製たわし」は効果的です。日常使いからできるところが良いです!
また、銅特有の抗菌作用で雑菌の繁殖を抑え、キッチン周りを清潔に保ちます。木のまな板の汚れ落としにも効果的で、いつでも気持ちよく料理の準備ができます。洗剤いらずで手軽に使え、環境にも配慮した一石二鳥のアイテムです。毎日のキッチンケアに取り入れてみてください。
まとめ
鉄フライパンにおいて、錆はどうしても避けられない部分があります。しかし大切なのは、錆が「つかない状態」ではなく「落としやすい状態」を維持するという発想です。そのためには、
- 使用後すぐに洗う
- 洗剤やたわしの使用は最小限に
- しっかり乾かした後に油を塗る
- 定期的に空焼きなどでリセットする
というポイントを抑えた「しっかりとしたメンテナンス」が効果的です!