伝統工芸品

おひつに移すだけでご飯が美味しいと感じるのは本当!冷めても美味しい!

おひつの画像とタイトル

本記事でご案内すること

おひつはご飯を美味しくしてくれる存在です。

最近になって一段と注目が集まっています。

ちなみに筆者は、おひつの製造メーカーでもある株式会社「山一」さんの製品のファンであります。

実際、おひつを使うなかでその魅力をより感じることができました。

使い始めることを迷っている方やこれから使う方に向けて書いております。

実体験に基づき、おひつの魅力や取り扱いについて分かりやすくご案内します。

但し書き
※本記事でご案内する「おひつ」は木製のおひつを指します。以後も、「おひつ」という時は木製のおひつという意味で使用します。

おひつで美味しいご飯を食べられる

おひつ

おひつを使うとご飯が美味しい

おひつには「調湿」という優れた力があります。

木は呼吸する性質をもっているので、おひつに移したご飯の余分な水分を吸湿・放湿し、循環させてくれます。

そのため、ご飯が適度なやわらかさとみずみずしさを保つことができ「やわらかく、ふっくらした状態」になりとても美味しく仕上がるのです。

また、呼吸(吸湿・放湿)することでおひつの中の湿度が一定に保たれるので、一時的にではありますがご飯の保温にも適しています。

おひつの歴史は平安時代ごろまで遡ります。

それほど長く人々に愛され、暮らしのそばに存在していた理由として、この調湿の効果に由るところの「ご飯の美味しさ」があるからではないかと思います。

おひつご飯を引き立てる蒸らし作業

ところで、電気炊飯器では一連の工程を自動で行ってくれますが、お釜や土鍋などでお米を炊くときには最後の「蒸らし」の作業が必須ですよね。

ご飯は炊き立てを10~15分ほどおくことによって、粒が引き締まり、お米本来の美味しさを味わえるといいます。

「蒸らす」工程の際におひつを使うことで、さらにお米の美味しさが際立つといわれています。

ただ、お持ちの炊飯道具で蒸らしまで完了させたご飯を、おひつに移し替えても美味しく召し上がっていただけます。

このやり方の際もふたを閉めてから10分程度寝かせることをおススメします。

我が家もこの使い方です!

冷めても美味しいおひつのご飯

優れた機能性により、ご飯の美味しさを引き上げてくれるのがおひつです。

とはいえ、電気炊飯器のように長時間にわたり一定の温度を保ち続けることはできません。

それがおひつのデメリットといえるかもしれません。

ただ、炊飯器で一定時間おいたご飯は水分が蒸発しパサついたり、黄ばんだり、固くカピカピした状態になってしまいます。

ですが、おひつは常温での保管が主となるので、炊飯器のように一定の温度を長時間維持することは難しくなります。

その点、熱が冷めていく過程でも調湿の働きにより、ふっくらした触感が残ったまま冷めていくのです。

その結果、おひつに入れたご飯は「冷めても美味しく食べられる」という大きな特徴があります。

これが、おひつを使うメリットでもあるのです。

おひつご飯と筆者

実際、筆者は子供の頃から冷えたご飯(と、カピカピご飯…)がどうしても苦手で食べられなかったので、正直初めてのおひつの冷ご飯は恐る恐る口に…といった感じでした。

食べてみた感想は…お察しの通りです!

生まれて初めて「美味しい!」と感じた冷ご飯は、驚くほどもちもちふっくらで、なんの違和感もなくパクパク食べられました。

自分の中の冷ご飯のイメージが覆った瞬間です!

読者様の中で筆者と同じく「冷ご飯に苦手意識が…」という方にもぜひお櫃を強くおススメしたいです!

また、おひつは食卓に直接置いておけるので、電気炊飯器のようにお替りで席を立つ必要もありません。

その場でよそえて食事中のひと手間を減らす活躍もしてくれます。

おひつのとの付き合い方

おひつは、大事に使えば半永久的に使うことができます。

5年、10年、20年・・・と、使い込むうちに、持ち主の個性に合わせた「表情」みたいなものも備わってくるのかもしれません。

そうなると、さらに愛着も湧くと思います。

おひつは、それなりにお手入れも必要です。

ですが、お手入れをしっかりするだけで、ずっと使うことができるのもおひつの魅力といえます。

 

 

おひつの選び方とオススメの所持数

おひつとごはん

おひつのサイズ選び

おひつの大きさは「普段炊かれている量+1合」の大きさが推奨されています。

つまり、普段から2合炊いている方であれば、3合用が推奨ということになりますね。

蓋をした時にある程度の余裕があるほうが空気の循環がよくなるためです。

それにより、おひつの機能を十分が発揮されます。

しかし、大きすぎると乾燥しやすくなりますのでサイズ選びの際はご注意くださいね。

なので、ポイントはおひつの中のご飯を食べきる量で選ぶと良いです。

我が家では、「一日で食べきる量+1合」という考えで選びました。我が家では、3合炊いて1合分を冷凍する習慣があります。

なので、実質3合炊いているのですが、食べきる量は2合なので、3合サイズを選びました。

おひつは複数持ちがおススメ

我が家はお櫃を3~4日乾燥させています。

なので、頻度よく使用したい時には、2個ぐらいあるとよいです。

そういう理由で我が家は2つ使用しております。

しかし、乾かす期間が重なりおひつを使えない日もあります。

全員がお櫃ご飯大好き!な我が家では、使えない日の食卓は切ない気持ちになったりします(笑)

そういった理由からあくまで我が家の使い方としましては、3個ぐらい必要かとも思っております。

山一さんのおひつに関して

おひつ

「株式会社 山一」さんのおひつの特徴

冒頭でも述べましたとおり、我が家では山一さん、東屋さんの木のお櫃を購入して愛用させていただいております。ここでは、製造元である山一さんのお櫃の特徴を簡単にご紹介しておきます。(注6)

1木曽サワラを使う
数ある書籍を閲覧すると、桶をつくるために用いられる木材として「木曽のサワラ」が取り上げられています。

江戸時代から、「桶は木曽のサワラ」が一番といわれているそうです。

山一さんで作られるお櫃も、この「木曽のサワラ」を材として用いています。

他の産地にはない独特の赤みがあり、耐酸性と耐水性に富んでいるそうです

杉やヒノキに比べて香りが穏やかなので、食物への匂い移りが少ないのも特徴です。

2箍(たが)が外れにくい
箍とは、お櫃の側面板の外側を締め固めるものです。

これにより、側面板や底板が分離しないようにする構造をつくっています。

仮に、これが緩むと、側面板や底板がバラバラになってしまう可能性もあります。

山一さんのお櫃の箍は、溝を掘り込む構造となっています。

この仕組みによって、箍を外れにくくしています。

見た目には従来のお櫃と変わらなくても、箍が緩むことによって生じる不具合を圧倒的に少なくすることに成功しています。

3鉋(かんな)仕上げ
鉋仕上げとは、江戸時代から続く「伝統技法」のひとつです。

山一さんのお櫃は、この鉋仕上げが行われています。

一方で「バフ仕上げ」という量産向きの方法もあります。

しかし、この方法は木肌のツヤをなくしてしまい、耐水性のある木の特徴を損なうものとされています。

鉋がけは、熟練された職人さんの技術があってこその高い技術のいるとても難しい工程です。

どのぐらいに見た目に変わるかは、実際に仕上がったそれぞれのものを見比べれば一目瞭然の差があるといいます。

 

まとめ

数年前に購入した、山一さんと東屋さんのおひつを手にとり、2つ並べてじっくり鑑賞してみると、杢目の表情からくる個性、その繊細さと、仕上げの良さに、今でも感動を覚えます。
それは、知恵の凝縮された職人さんの手わざによる伝統技法と、心によってうみだされた作品であるからだと感じています。

筆者にとってはデメリットのない最強の相棒であるといっても過言ではないおひつですが、「作り手」には多大な、「使い手」にも多少の、手間がかかることをご紹介しました。
しかし、それがご飯を美味しく食べる為の最適な方法だったからこそ、長きにわたり人から愛され続けてきたのだとも思います。

最後に、今回の記事を読んでくださった読者さまには心より感謝申し上げます。
至らぬ点、稚拙な点、数々あったかと思います。
より精度の高いものをご覧いただけるよう今後も精進して改善に努めていく所存ですので、何卒ご容赦いただけますようよろしくお願いいたします。

昨今ポピュラーとなってきたSDGsでは、エネルギーが将来の世代で枯渇しないようにすることや、「消費と生産」の循環が持続可能であることなどを目標としています。
お櫃は炊飯器と比べて電力コストが少なく、お米を主食とする範囲において
10年、20年単位の電力消費量を節約するものだと考えます。

木は伐っても、植えれば生える、再生産可能な、循環できる資源でもあります。木のおひつは、そうした持続可能な社会目標の実現に向けた取り組みとうまく寄り添いながら、より暮らしの中に必要な存在のひとつとなっていくと感じています。

参考文献・引用資料(文中脚注)

1:引用元:「創業明治41年 釜浅商店料理道具案内」、2015/3/13、p126
2:参考出典:https://umezawa-u.store/blogs/
2:引用元:キナリノHP:https://kinarino.jp/cat2/38218#
3:引用元:キナリノHP:https://kinarino.jp/cat2/38218#
4:引用元:「サライ.jp」https://serai.jp/hobby/1121316
5:参考文献:「日本の森と木の職人(地球の歩き方 GEN STONE9)、2007/5/12、西川栄明
6:参考元:「株式会社 山一HP」:https://yamaichi-kiso.jp/free/shouhinnokodawari